ヤエン釣りは、アオリイカをターゲットとした独特の釣法です。その魅力は何といっても、生きたアジを泳がせてイカを誘い、絶妙なタイミングでヤエンを投入して釣り上げるというスリリングなやり取りにあります。
アタリが出たときにラインを自然に出せるかどうか、イカが乗ってからのやり取りをスムーズにこなせるかという点において、リールの選び方は非常に重要です。
一般的なスピニングリールでも代用は可能ですが、ヤエン釣りではリアドラグ式やレバーブレーキ式といったヤエン専用機能を持つリールの方が圧倒的に有利になります。今回の記事では、そんなヤエン釣り専用リールの違いや選び方、2025年版のおすすめ機種まで、実釣でのインプレを交えて徹底的に解説していきます。

ヤエン用リールの選び方
リアドラグ式リールの特徴とメリット・デメリット
リアドラグ式リールは、ヤエン釣りにおいて最も定番かつ、初心者にも扱いやすいリールタイプです。リール後部にあるクラッチやレバーによって、瞬時にドラグをフリーにすることが可能で、アオリイカがアジを抱えて移動する際の自然なライン放出が行えます。
メリット
- 操作が簡単で分かりやすい
ワンタッチでドラグを切り替えられる設計は、アングラーにとって直感的で、特に初めてヤエン釣りに挑戦する方には大きな魅力です。 - 価格が比較的安価
レバーブレーキ式に比べて、リアドラグ式のリールは価格が手頃な傾向があり、導入のハードルが低いのも嬉しいポイントです。 - ドラグ音が出るためアタリが分かりやすい
ドラグがフリーになると「ジージー」と音が鳴るため、視認できない位置でもイカのアタリにすぐ気づけます。
デメリット
- ドラグ調整の自由度がやや低い
後述するレバーブレーキリールと比べるとラインテンションの細かいコントロールには限界があり、特に大型イカとのやり取りでは不安が残る場合も。 - 糸ヨレが起きやすい構造
スプールが逆回転しラインが出ていくので、ラインにヨレがかかりやすいという欠点があります。 - 剛性や防水性に不安が残るモデルも
防水性などが最新のリールと比べて低く、しっかりメンテナンスしてないと塩上しやすいです。
レバーブレーキ式リールの特徴とメリット・デメリット
レバーブレーキ式リール(通称:LBリール)は、元々は磯釣り用に開発されたリールですが、近年ではヤエン釣りとの相性の良さから導入するアングラーが増えています。リールの側面に搭載されたレバーにより、指一本でラインのテンションを瞬時にコントロールできるのが最大の特長です。
メリット
- 繊細なラインコントロールが可能
レバー操作で瞬時にフリー、またはブレーキ状態に切り替えられるため、アオリイカの引きに応じた絶妙な駆け引きが可能です。 - 糸ヨレが極めて少ない
ローターが逆回転してラインを出す構造のため、ラインローラーとハンドルが同時に回転し、スムーズにラインが放出されます。ヨレによるライントラブルが激減します。 - やり取りがスムーズで手返しが早い
手持ちでヤエン釣りを行う場合、LBリールの使いやすさは特筆もので、特に大型アオリイカとのやり取りではその真価を発揮します。
デメリット
- 価格が高い
リアドラグ式に比べて高価なモデルが多く、初心者にはややハードルが高いと感じられるかもしれません。 - 操作には慣れが必要
レバーの操作に慣れないと、アオリイカの取り込み時に誤操作でバラしてしまう可能性があります。慣れるまでは練習が必要です。 - 基本的にはアタリ音が鳴らない
LBリールはドラグ音(ジージー音)が標準装備されていないモデルもあり、アタリの気づきにくさを補うために「アタリ鈴」などを自作・改造するアングラーも多く見られます。
レバーブレーキ式は、繊細なアプローチを必要とする中〜上級者向けのリールとも言えますが、慣れてしまえばその操作性の高さとトラブルの少なさに虜になること間違いなしです。
どっちを選ぶべき?リアドラグとレバーブレーキ徹底比較
ここまでで、リアドラグ式とレバーブレーキ式の特性を解説してきましたが、最終的にどちらを選ぶべきなのでしょうか?選択のポイントは、釣りスタイル・釣行頻度・操作の好みにあります。
使用スタイル別のおすすめ
- 置き竿中心で、アタリを待つスタイルのアングラーには「リアドラグ式」
音でアタリを察知しやすく、クラッチ操作も直感的。操作ミスも少ないので、初心者にも最適です。 - 手持ちスタイルでイカとの駆け引きを楽しみたい方には「レバーブレーキ式」
ラインテンションの調整が自在で、手返しの良さも魅力。トラブルも少なく、長期的に見れば高性能な選択です。
インプレと使い分け

アオリイカがアジに抱きついてラインをすっと持っていく時に出る「ジジジジィー」という音に最初はドキドキ・ワクワクするので初めての人は「リアドラグ式」でまずこのドキドキを味わって欲しいです。
長年ヤエン釣りを楽しんできた中で、リアドラグとレバーブレーキの両方を使い分けています。
- 夜釣りや2本出し(置き竿+手持ち)のときはリアドラグ式
ドラグ音がアタリのサインになって便利です。 - 日中や回遊待ちのピンポイント勝負ではレバーブレーキ式
細かなブレーキ調整でイカの動きに合わせられ、ヤエン投入後の成功率が高くなります。
リアドラグ式は「シンプル&手軽」、レバーブレーキは「高性能&繊細な対応力」。自分の釣りスタイルや予算、扱いやすさに合わせて選ぶことが、最初の一歩としては最も重要です。
ヤエン釣りにおすすめのリール5選【2025年最新版】


ここでは、実際に多くのアングラーに使用されている中から、おすすめのヤエン用リールを厳選してご紹介します。リアドラグ式・レバーブレーキ式の両タイプを含めて、使いやすさと性能のバランスが取れた機種を選定しました。
リアドラグ式のヤエン用リール
アオリスタBB(シマノ)
ヤエン釣り入門者の定番とも言えるリアドラグ式リール。ファイティングレバー搭載で、瞬時にドラグをフリー⇔締めの切り替えが可能です。軽量で扱いやすく、ワンタッチスプール交換にも対応。
- ドラグ音が心地よく、アタリにすぐ気づける
- コストパフォーマンスに優れており、最初の1台に最適
アオリスタCI4+(シマノ)
アオリスタBBの上位モデルで、軽量化と剛性を両立。HAGANEギアやリジッドサポートドラグを搭載し、巻き心地も滑らかです。価格はやや上がりますが、長く使いたい方にはこちらがおすすめ。
- 高剛性で大型アオリにも安心
- 見た目も上品で所有感が高い
アオリトライアル BR(ダイワ)
基本性能の高さと使いやすさを兼ね備えた、コストパフォーマンスに優れたリアドラグ式ヤエンリールです。2023年のモデルチェンジにより、クラッチは従来のオートリターン式から「マニュアルリターン式」へ変更され、意図しないクラッチ戻りを防止。アオリクラッチでフロントとリアのドラグを瞬時に切り替えられる機能は、ヤエン釣法に最適です。
アオリマチックBR(ダイワ)
ヤエン釣りに特化したリアドラグ式リール「アオリマチックBR」。アオリクラッチ搭載でフロント・リアドラグの切替がスムーズ。マニュアルリターン式により操作性が向上し、不意のクラッチ戻りを防ぎます。ATDやマグシールド、エアローターを搭載し、滑らかな巻き心地と高い防水性も魅力。初めての1台としても最適な高機能モデルです。
レバーブレーキ式のヤエン用リール
ヤエン専用で発売されているのは、ダイワの「バトルゲームLBQD」のみだと思います。他は基本的に磯釣り用のレバーブレーキリールです。以下に紹介したいる以外にも磯用のレバーブレーキリールは存在しています。
バトルゲームLBQD(ダイワ)
ヤエン釣りに特化したレバーブレーキリール「バトルゲームLBQD」。手持ちでの繊細な操作を可能にするローギア&ダブルハンドル設計で、アジの泳がせを自在にコントロール。マグシールドやZAIONボディ、クイックドラグなど高機能を多数搭載し、トラブルレスかつ力強いやり取りを実現します。攻めのヤエン釣法を極めたい中・上級者に最適な1台です。
- 安定した操作感で大型アオリとの勝負にも強い
- LB初心者でも扱いやすい設計
BB-X デスピナ(シマノ)
本来は磯釣り用ですが、ヤエン釣りにも愛用者の多いレバーブレーキリール。2023年に7年ぶりにモデルチェンジされました。HAGANEギアとHAGANEボディを搭載した高剛性レバーブレーキリール。マグナムライトローターによる軽快な巻き心地と、Xプロテクトによる優れた防水性能が特長です。ヤエン釣りにも対応するスムーズな逆転性能を備え、ストレスのない操作性を実現。ハイグレードながら実用性も高く、上級者にも満足できる1台です。
- ストレスのないライン放出と巻き取り
- 操作に慣れれば最強クラスのLBリール
番手・ギア比・ハンドルの選び方とカスタマイズのポイント
リールの性能だけでなく、細かいスペックの違いにも注目して選ぶことで、自分の釣りスタイルにより合った一台を見つけることができます。
番手の目安:2500〜3000番が最適
ヤエン釣りにおいては、2500番〜3000番がスタンダードです。
- 2500番:軽量で取り回しやすく、手持ちに適しています
- 3000番:パワーと糸巻き量のバランスが良く、汎用性が高い
- 4000番:太糸を使った大型アオリイカ狙い向き。ただし結構重くなります
ギア比の選び方:ハイギア or ノーマル?
- ハイギア(HG):手返しが早く、糸フケ回収がしやすい。手持ち派におすすめ
- ノーマルギア:巻き取りトルクがあり、大型とのやり取りが楽。置き竿にも最適
ダブルハンドル化のすすめ(特にLBリール)
レバーブレーキ式リールを使うなら、ダブルハンドルはぜひ導入したいカスタムパーツです。
- ローター逆回転時のバランスが良くなり、ライン放出が安定
- アタリ鈴などとの連動にも最適(視覚・聴覚でアタリを察知)
特にダイワのバトルゲームLBQDは、最初からダブルハンドル搭載という点でもアドバンテージがあります。
ヤエン用リールのQ&A


ヤエン釣りを始めたばかりの方はもちろん、経験者でも「リールの選び方」や「カスタム方法」で悩むことがあるかもしれません。本記事では、ヤエン釣りリールに関するよくある疑問をQ&A形式で解説します!
- ヤエン釣りにはスピニングリール以外は使えないの?
-
基本的にはスピニングリールが最適です。ベイトリールも工夫次第で代用可能だと思いますが、ライン放出やライントラブルの面でスピニングリールが圧倒的に有利です。
- ヤエン専用リールじゃないと釣れませんか?
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釣れないわけではありませんが、リアドラグやレバーブレーキなど、専用機能があると操作性が格段に上がり、釣果にもつながります。
- フロントドラグのリールは使えますか?
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使用可能ですが、ドラグ操作が遅れることがあり、アオリイカに違和感を与えてしまう場合があります。リアドラグやLBの方が向いています。
- ラインはナイロン、フロロとPEどちらが良い?
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ナイロンラインやフロロカーボンラインの1.5~3号が主流です。フロロは根ズレに強く、ナイロンはしなやかで扱いやすいので、アオリイカにも違和感を与えにくいのが特徴。PEラインも使えますがリーダーが必須になります。
- ダブルハンドルとシングルハンドル、どちらが良い?
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特にレバーブレーキ式リールではダブルハンドルが安定性に優れています。
- ゼロフケテンションって何ですか?
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レバーブレーキリール特有の機能で、ライン放出時に微妙なテンションをかけることで、バックラッシュや糸ふけ過多を防ぐ仕組みです。
- レバーブレーキリールはアタリ音が鳴らないの?
-
多くのLBリールはアタリ音が鳴らない仕様です。そのため、アングラーの間ではアタリ鈴や自作カスタムで音が出るように工夫するケースもあります。
まとめ:最初の1台はリアドラグ、慣れてきたらLBも検討を
ヤエン釣りは、他の釣法にはないスリルと駆け引きの面白さが魅力です。そして、その面白さを最大限に引き出すためには、リールの選び方が非常に重要です。
今回ご紹介したように、ヤエン釣りには主にリアドラグ式とレバーブレーキ式の2種類のリールが使用されており、それぞれに明確なメリットとデメリットがあります。
こんな方にはリアドラグ式が最適
- ヤエン釣り初心者の方
- まずは手軽に釣りを始めたい方
- 置き竿中心でドラグ音によるアタリを取りたい方
→ シマノ「アオリスタBB」やダイワ「アオリマチックBR」がおすすめです。
こんな方にはレバーブレーキ式が最適
- 手持ちスタイルで積極的に駆け引きを楽しみたい方
- ライントラブルを極力避けたい方
- 中〜上級者で繊細なコントロールを求める方
→ ダイワ「バトルゲームLBQD」やシマノ「BB-X デスピナ」などがハイパフォーマンス機種です。
最初は扱いやすいリアドラグ式からスタートして、ヤエン釣りの魅力にどっぷりハマってきた頃には、ぜひレバーブレーキ式へのステップアップも検討してみてください。ぜひこの記事を参考に、自分に合ったベストな1台を見つけてください。アオリイカとの熱い勝負が、あなたを待っています!


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