泳がせ釣り(ノマセ釣り)は、大物との緊張感あるやり取りが非常に楽しい釣り。青物やヒラメ、マゴチ、根魚など、幅広い魚種がターゲットになる一方で、「タックル選びで釣果が大きく変わる」というのもまた事実。特にリールは、耐久性やドラグ性能が求められる重要なアイテムです。今回は実売価格2万円前後までに絞り、インプレを重視して選定したおすすめリール5選をご紹介します。

泳がせ釣りにおけるリール選びの重要性とは?
泳がせ釣りでは、アジやイワシなどの活き餌を自然に泳がせ、フィッシュイーターが飲み込んでからしっかりとフッキングさせ、大物を引き寄せる必要があります。つまり、ただ巻くだけの性能では足りず、「耐久性」「パワー」「ドラグ性能」「巻き上げトルク」など複数の性能がバランス良く備わっていることが求められます。
また、泳がせ釣りでは船・堤防問わず不意の大物に遭遇することもあるため、リールの剛性や滑らかなドラグの効きは、ラインブレイクやバラシを防ぐうえで非常に重要です。だからこそ、一定の性能を満たしつつも価格が抑えられているリールが、「最初の1台」としても非常に価値があります。
コスパの良いリールに共通する3つのポイント
「コスパが良い」とは、単に安いという意味ではありません。以下の3つの要素がそろって初めて、価格以上の価値があるリールと言えます。
- 耐久性とドラグ性能の両立
泳がせ釣りではドラグの滑らかさが魚との駆け引きのカギを握ります。高精度なドラグシステムを持ち、数回の使用で不具合が出ない耐久性が重要です。 - 巻き上げ力とギア比のバランス
大型青物などとのファイト時に巻き負けしないパワーが必要です。ギア比はハイギアすぎず、パワー重視のノーマルギアまたはパワーギアが安心です。 - 入手しやすさとメンテナンス性
交換部品や修理対応のしやすさ、また自分で簡単に洗浄・注油できる構造も、長く使ううえで見逃せません。国内メーカーの定番機種はこの点で有利です。
コスパ最強!泳がせ釣りにおすすめリールBEST5
23レガリス LT(ダイワ)
実売価格:11,000円前後
2023年にモデルチェンジされた「レガリス LT」は、軽量でありながらしっかりとした剛性を持ち、1万円台前半とは思えない完成度を誇る一台です。ZAION V素材の採用により、軽さと剛性のバランスが秀逸で、長時間の泳がせ釣りでも疲れにくいのが魅力です。
レガリスLT 5000-CXHを使用。50cm級のヒラメにも余裕を持って対応可能で、ドラグの滑りもスムーズ。ドラグ設定をやや弱めにし、走らせた後で一気に巻き上げるスタイルでも、巻き感に違和感はありませんでした。PE2.0号を巻いて、ヒラメ〜中型青物(イナダクラス)までカバー可能。コスパ重視の泳がせ釣りデビューには間違いなくおすすめの1台です。
21ナスキー(シマノ)
実売価格:10,000円前後
ナスキーは、シマノの中級機の中でも「コスパ優等生」として知られる存在です。2023年の新モデルでは、防水性能が向上し、HAGANEギアやコアプロテクトなど上位機種からの技術も盛り込まれています。
ハンドルの巻き出しがとても滑らかで、引き抵抗が強い中でも安定したリーリングが可能。エサの動きやわずかなアタリも拾いやすく、「釣りに集中できるリール」として非常に好印象でした。ナスキー4000を使い、堤防からの青物狙いで70cmオーバーのブリをキャッチ。多少の無理なやり取りでもギアの歪みなどは感じず、信頼して使える印象です。
25カルディア LT
実売価格:22,000〜25,000円前後
2025年にリニューアルされたダイワの「カルディア」は、LTコンセプトをさらに進化させた、軽量かつ剛性の高い中堅モデルです。ZAION Vフルボディによる高い剛性と軽さ、そして巻きの滑らかさが両立されており、泳がせ釣りでもその実力を存分に発揮してくれます。PE2号〜2.5号を巻けば、泳がせ釣りの主要ターゲット(ヒラメ、青物、根魚)をカバーできます。耐久性・操作性・ドラグ性能のバランスに優れており、「1台で幅広く対応したい」アングラーには非常におすすめのリールです。
25カルディア LT5000D-Cを使い、堤防からの泳がせ釣りでメジロクラスをキャッチ。とにかくドラグの滑り出しがスムーズで、青物の初期ダッシュにもラインブレイクの不安が少なく、安心してやり取りができた印象です。ハンドルノブもラウンド型で握りやすく、波止や船上で濡れた手でも滑りにくい点も好印象。ギアのパワーも申し分なく、「中価格帯でもここまで来たか」と感じさせる仕上がりでした。
25アルテグラ(シマノ)
実売価格:19,000円前後
2025年にフルモデルチェンジされた「25アルテグラ」は、ミドルクラスながらHAGANEギア、サイレントドライブ、インフィニティドライブなど、上位機種に迫る機能を惜しみなく搭載。防水性・巻きの滑らかさ・トルク感と、三拍子そろった完成度の高さが魅力の1台です。
使用したのはC5000XG。PE2号を巻いて泳がせ釣りでメジロ・ブリクラスの青物を狙いました。ファイト時の印象は、「ドラグの出だしが滑らかで安心感がある」。突っ込みに対してドラグがリニアに効き、ラインブレイクのリスクが少なく、バレにくい構造だと感じました。ボディ剛性がしっかりしているため、ファイト中にリールが“ねじれる”ような感覚がなく、巻き負けしない安心感があります。軽快な巻き心地とパワーの両立は、泳がせ釣りだけでなく、ショアジギングやライトオフショアでも活躍してくれるはずです。「中級機で迷ったらコレ」と言える、完成度の高いリールです。
22サハラ(シマノ)
実売価格:8,000円前後
今回紹介する中で最も安価なモデルながら、「初心者にこそおすすめしたいリール」として選出したのがシマノのサハラ FJです。2022年のリニューアルで内部構造が大きく見直され、耐久性と巻き感が飛躍的に向上しています。
PE1.5号を巻いたC5000XG番を使用し、防波堤からの泳がせ釣りでハマチやアコウ(キジハタ)を中心に実釣。さすがに大型青物相手だと少し不安はありますが、40~50cm級の魚相手には十分以上の性能を発揮します。何よりこの価格帯で「壊れない」「トラブルが少ない」点が魅力で、メンテナンスも非常に簡単。これから泳がせ釣りを始めたいという方に、まず試してほしいモデルです
コスパ重視リールの活用術
「安いリールだと壊れやすいのでは?」「大物相手には心配…」と思われがちですが、使い方次第でその寿命や釣果は大きく変わります。ここでは、筆者が実践している“コスパ重視リールの活用術”を3つご紹介します。
泳がせ釣りでは魚が食い込む前にラインテンションがかかりすぎると違和感を与えてしまいます。また、大物とのファイト時には「無理に引っ張らないこと」がリールを守るポイントです。ファイト中に少しドラグを締める運用がおすすめです。
リールの巻き性能やスプール構造によって、PEラインがトラブルを起こしやすい機種もあります。泳がせ釣りでは2号前後の太さを使い、糸ヨレ対策にはベール返しのタイミングやテンションコントロールも重要です。5号前後のナイロンラインを使う場合は、糸の巻グセが付きやすいので、ラインが古い場合は巻き直すと良いと思います。
価格を問わず、釣行後に「真水でしっかり洗って水分を拭き取る」「1ヶ月に一度程度の注油をする」だけで、塩噛みを大幅に防げます。とくに海水で使用した場合はこのケアが寿命に直結します。
賢いリール選びで泳がせ釣りをもっと楽しもう
泳がせ釣りは、活きエサの操作と大物とのやり取りが魅力の、非常に奥深い釣法です。その中でもリールは、釣果と直結する重要な道具のひとつ。しかし、必ずしも高級モデルを使わなければ釣れないというわけではありません。
今回ご紹介した5つのリールは実売価格2万円前後で購入できるにもかかわらず、実釣で十分な性能を発揮する「価格以上の価値あるモデル」ばかり。
また、コスパ重視だからこそ、自分の釣りスタイルや釣行環境に合った1台を選ぶことが大切です。さらに、日々のメンテナンスや扱い方を少し工夫するだけで、リーズナブルなリールでも長期間活躍してくれます。
釣り道具は、「高ければいい」というわけではなく、「目的に合ったものをどう使いこなすか」が釣果を左右します。今回の記事を参考に、ぜひご自身にぴったりのリールを選び、泳がせ釣りの醍醐味を存分に楽しんでください。


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