太刀魚テンヤ釣り入門!タックル・釣り方・シーズンなどを解説

「ドラゴン」と呼ばれる大きな太刀魚を釣ってみたい。そんな夢を叶えてくれるのが、近年全国的に人気を集めている船からの「太刀魚テンヤ釣り」です。

太刀魚テンヤは、仕掛け自体はシンプルでありながら、ロッドワークやリール操作によってゲーム性が高く、初心者からベテランまで楽しめる奥深い釣りです。しかもシーズンによっては数十本単位で釣れることもあり、釣っても楽しい、食べても美味しい魅力が詰まっています。

この記事では、これから太刀魚テンヤ釣りに挑戦してみたい初心者アングラーに向けて、必要な道具の選び方、基本的な釣り方、シーズンごとの狙いどころ、さらには失敗を防ぐコツまでを詳しく解説します。

目次

太刀魚テンヤ釣りとは?魅力と特徴

太刀魚テンヤ釣りとは、オモリと針が一体になった「テンヤ」と呼ばれる仕掛けにイワシやサンマなどのエサを巻き付け、船から狙うスタイルの釣りです。主に関西圏で長年人気がありましたが、近年は関東や全国にも広まり、今や多くのアングラーが夢中になっている釣り方です。

最大の魅力は、初心者でも「数釣り」と「大物狙い」の両方を楽しめる点にあります。活性の高い群れに当たれば30本以上の釣果も夢ではなく、シーズンによっては120cmオーバーの“ドラゴン級”と呼ばれる特大サイズの太刀魚がヒットすることもあります。

また、ただエサを落として待つだけではなく、ロッドワークやリールの巻き方でテンヤを「動かす」「止める」といったアクションを与えて、太刀魚の捕食スイッチを入れるのが特徴です。ルアーフィッシングのようなゲーム性があり、駆け引きの楽しさは一度体験するとやみつきになります。

さらに、太刀魚は強烈な引きと鋭い歯を持つ魚。掛けた瞬間の手応えや、水面近くでギラリと光る姿は迫力満点で、食べても非常に美味しい魚として人気があります。初心者アングラーが船釣りに挑戦するきっかけとしても最適な釣りと言えるでしょう。

シーズンとおすすめ時期

太刀魚テンヤ釣りのシーズンは、地域によって多少の違いはありますが、一般的には夏の終わり(7月頃)から翌年の冬(2月頃)まで 楽しむことができます。特に釣果が安定して数釣りを楽しめるのは 秋(9月〜11月頃) で、この時期は初心者にもおすすめのシーズン。

シーズン初期の8月頃はまだ群れが浅場に入りやすく、数釣りが狙えます。水深が比較的浅いため、電動リールがなくても楽しめるケースもあります。冬に近づく12月〜2月は深場で大型が狙えるシーズン。数は減るものの120cmを超える“ドラゴン太刀魚”の出現率が高く、腕自慢のアングラーたちには外せない時期。

また、釣果に大きく影響するのが「潮回り」です。太刀魚は潮の速さによって活性が変わることが多く、小潮や長潮といった流れが緩やかなタイミング が釣りやすい傾向にあります。大潮の日は海底が濁りやすく、潮が速いため捕食が下手な太刀魚にとって釣りにくいタイミング。初心者には難しく感じることもあるため、最初の釣行は小潮回りを狙うと良いです。

TSURI TRENDS編集部

良く釣れているタイミングに行けば、ほぼ間違いなく太刀魚を釣る事ができると思います。目安は直近数日の釣果で竿頭が30本以上釣っていれば、ある程度活性が高めと判断できます。もちろん、急に釣れなくなる場合もありますが、小潮で直近が釣れているタイミングを狙うのが確実です

加えて、船宿によっては釣果情報を発信しているところが多いため、出かける前に最新情報を確認するのも大切です。「今日はどのエサが当たっているか」「釣れている水深は何メートルか」といった情報を仕入れることで、初めてでも効率良く釣りを楽しむことができます。

太刀魚テンヤのタックル(道具一式)

太刀魚テンヤ釣りに挑戦するためには、専用タックルを揃えるのが理想ですが、初心者であれば代用できる道具でも十分に楽しめます。ここでは必須アイテムを一つずつ解説します。

ロッドの選び方

太刀魚テンヤ釣りに最も適しているのは 太刀魚テンヤ専用ロッド(長さ1.6〜2m、先調子の竿) です。先調子とは竿の先端側だけがしなやかに曲がるタイプで、微妙なアタリを感じ取りやすく、アワセも素早く決められます。
初心者が代用するなら、 オモリ負荷30〜60号に対応する船竿やジギングロッド でも問題ありません。ただし、柔らかすぎるとアワセが決まりにくく、硬すぎるとバラシが増えるため、バランスの取れたロッドを選ぶことが大切です。

リールの選び方

基本は小型電動リールがおすすめです。理由は、40号前後(150g程度)のテンヤを水深50〜100m以上に何度も上げ下げするため、手巻きだと非常に疲れるからです。シマノなら「600番」、ダイワなら「200番」が目安。電動リールは「微速巻き」など独自の誘いが可能で、釣果アップにもつながります。手巻きに挑戦したい場合は、 カウンター付きの両軸リール を選びましょう。タナを正確に把握することができ、初心者でもアタリを逃しにくくなります。

ラインとリーダー

ラインは PE2号を300m程度 巻いておくのが基本です。お祭り(他人との糸絡み)や太刀魚の鋭い歯で切られることを考慮し、余裕を持って巻いておくのがおすすめです。
リーダーは フロロカーボン10〜12号を50cm〜1m 使用します。ワイヤーリーダーは切れにくいですが、食いが落ちる場合があるため、まずはフロロカーボン製リーダーが良いです。テンヤに付属しているリーダーとPEラインを直結して使っても問題ありません。

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船宿によってはワイヤーリーダーを禁止しているところもあります。注意しましょう。

太刀魚用のテンヤ(針)

地域や船宿で号数が指定されることが多く、関西では40号が一般的です。切られる場合もあるので最低でも5個ほど用意しておくと安心です。カラーはグロー(夜光)が定番ですが、赤金やゼブラ柄なども持っておくと状況に合わせて対応できます。

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最近はテンヤのカラーも豊富です。カラー選びで釣果が変わる場合もあります。

エサの種類と特徴

  • イワシ:最もポピュラーで喰いが良い。冷凍イワシを使用することが多い。人によりますが、イワシの頭は切り落としてテンヤにセットします。
  • サンマ:エサ持ちが良く、手返しが早くなる。塩やニンニク漬けなどで工夫するとさらに効果的。
  • 釣れた太刀魚の尻尾 をエサにする上級者もいます。

エサは針金でしっかり固定するのが基本です。先端部分を重点的に巻くとズレにくくなります。

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アミノリキッドや塩で〆たり、にんにくパウダーをまぶして集魚効果を高めたりするアングラーも多いです

基本的な釣り方(誘い方)

タックルを揃えたら、いよいよ釣り方や誘い方です。太刀魚テンヤは「棚取り」「誘い」「アワセ」が重要な釣り

仕掛け投入とタナの取り方

まずは船長の合図で仕掛けを海中に投入します。テンヤが着底したら、すぐにリールを2〜3m巻き上げて根掛かりを防ぎます。太刀魚は中層にいることが多いため、船長から「底から20mまで」と指示があれば、その範囲で仕掛けを動かします。リールのカウンターを活用し、アタリのあった水深を正確に覚えておくことが釣果アップにつながります。

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太刀魚テンヤでは、探見丸を持っていたら水深や魚探が見られるので非常に便利です。

基本の誘いパターン

太刀魚テンヤの誘い方は大きく4種類あります。初心者はまずこの基本を身につけましょう。

  1. タダ巻き(微速巻き):一定速度でリールを巻き上げる方法。シンプルながら効果的な釣り方。
  2. ストップ&ゴー:リールを数回巻き上げて止める、巻き上げて止めるを繰り返す方法。止めた瞬間に食うことが多い。リールを巻く回数を変える事で反応が変わる場合もあります。
  3. ジャーク&ステイ:ジギングのようにロッドを数回シャクり上げ、テンヤをキビキビと動かしたあと、止めて食わせの間を作る。
  4. フォール:ロッドを大きく上げてから、テンヤを落とし食わせるテクニック。アタリを取るのが難しいが、フォールにしか反応しない場合に有効
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上記の中から組み合わせて、例えば、ジャークしてからタダ巻きに移行するなどの方法も良いです。

状況によって反応が違うため、パターンを切り替えながら当たり方を探るのがコツです。

アタリの種類と見分け方

太刀魚のアタリは多彩です。

  • 穂先や手元に「コツコツ」と伝わる小さなアタリ → 前アタリ(まだ食い込みきっていない)。大きく竿を引き込む本アタリが出るまで誘い続けると良い場合多いです。
  • 穂先が持ち上がる → 食い上げや居食い(エサを咥えている状態)
  • 竿先がグッと引き込まれる強めのアタリ → 本アタリ(掛けるチャンス)

まずは、「違和感があれば積極的にアワセる」意識を持ち、慣れてきたら本アタリが出るまで誘うなど、アタリを見極めるとフッキング率が上がります

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アワセが失敗しても、まだ太刀魚が付いてきている場合が多いので、すぐに仕掛けを回収せずに、アワセをしっぱいしたところから誘い直すと食ってくる場合が多いですよ

アワセとやり取りのコツ

本アタリを感じたら、素早くしっかりアワセるのが基本。太刀魚の顎や頬に針をしっかり貫通させるイメージでアワセましょう。掛かった後は電動リールなら6〜7割程度の速度で巻き上げると、バラシにくいと思います。太刀魚は急に上に泳ぎ、居なくなった?と感じる場合もありますが、常に巻き続けラインテンションを保つことが重要です。

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電動リールのフルパワーで巻き上げるとバラしやすいです。

しっかりとフッキングさせたいので、リールのドラグ設定はガチガチに締めておいても大丈夫です。

初心者が覚えておくと便利なコツ

太刀魚テンヤ釣りは基本を押さえれば十分楽しめますが、ちょっとした工夫で釣果に大きな差が出ます。ここでは初心者がすぐに取り入れられる実践的なコツをご紹介します。

複数のテンヤを準備して手返しを良くする

太刀魚は群れで行動する魚なので、アタリが出る時間帯(時合い)にどれだけ効率的に釣るかが重要です。エサがボロボロになってからゆっくり付け直していると、チャンスを逃してしまいます。あらかじめエサを付けたテンヤを3個ぐらい準備しておき、バラしたりエサが外れたらすぐ交換できるようにしておくと手返しがアップします。

周りの釣れているタナを真似する

太刀魚は群れで同じタナに集まる習性があります。そのため、自分が釣れないときは周りで釣れている人の水深を確認して合わせてみましょう。遊漁船では「どのタナで釣れてますか?」と声を掛け合うことも多く、チームプレイ的な雰囲気があります。初心者ほど積極的にタナを共有すると釣果が伸びやすいです。

エサの付け方を工夫する

イワシなど柔らかいエサはそのままだとすぐにズレたり壊れたりします。特に活性が高いとエサの消耗も早いため、針金をちゃんと巻き付けることが重要です。さらに、塩を振って水分を抜いておくとエサ持ちが良くなり、時合いを逃しにくくなります。太刀魚船は無料で1パックぐらいイワシが付いている事が多いです。追加分は別料金になったりと、船宿によって異なります。予約時に確認しておきましょう。

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太刀魚の活性が高い場合はサンマ餌を使うと餌持ちが格段に良くなり手返しもアップします。自分でサンマを買ってきても良いですし、下記のような太刀魚用のサンマを購入するのでも良いです。

空アワセもチャンスに

アタリがあってアワセても掛からないことはよくありますが、すぐに回収せずに少し誘いを続けると再び食い直してくることも多いです。太刀魚は一度狙ったエサに執着する習性があるため、 空アワセも「誘いの一部」と考えるとチャンスを増やせます。

小潮の日を狙う

前述しましたが、潮の流れが速い大潮は濁りやすく、仕掛けも流されやすいので、捕食が下手な太刀魚は釣りにくい場合が多いです。まずは小潮回りの日に釣行することで、太刀魚の活性が高い場合が多く、テンヤの操作が安定しアタリを取りやすくなります。

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大潮が釣れないという訳ではないです。一般的に小潮の方が良く釣れるとされています。

太刀魚テンヤ釣りにあると便利なアイテム

基本のタックルとエサがあれば釣りはできますが、快適さや安全性を高めるために用意しておくと便利なアイテムがあります。特に初心者はこれらを揃えておくことで安心して釣行を楽しめます。

フィッシュグリップ・太刀魚バサミ

太刀魚は鋭い歯を持ち、素手で触ると怪我をする危険があります。専用の 太刀魚バサミ(フィッシュグリップ) を使えば、安全に掴んで針を外せます。釣れた魚を暴れさせず、効率良くクーラーボックスに入れられるため、必携アイテムです。

クーラーボックス

釣れる時は一気に数十本単位で釣れることもあるため、 30〜35L程度のクーラーボックス があると安心です。保冷力の高いタイプを選べば、長時間の釣行でも鮮度を保てます。氷は多めに準備しておきましょう。

ライフジャケットなどの安全装備

船釣りではライフジャケットが必須です。特に自動膨張式のタイプは動きやすく快適でおすすめです。加えて、滑りにくいデッキシューズや長靴も用意しておくと安心です。

竿受け(ロッドキーパー)

竿を船べりに固定できる 竿受け があると、仕掛けの準備やエサ付けの際にとても便利です。初心者は特に両手が使える状態を作れると安心なので、持参をおすすめします。

その他の便利アイテム

  • プライヤー・ラインカッター:針外しや仕掛け交換に必須
  • 酔い止め薬:船酔いしやすい人は事前に準備
  • タオルやウェットティッシュ:エサで汚れた手を拭くのに便利
  • 予備のリーダー・スナップ付きスイベル:歯で切られることがあるので必ず持参
  • 絆創膏:タチウオの歯で手を切る場合がある

こうした小物類をしっかり揃えておくと、トラブルが減り、釣りに集中できる環境が整います。

まとめ

太刀魚テンヤ釣りは、仕掛け自体は非常にシンプルでありながら、誘い方やタナ取り次第で釣果が大きく変わる奥深い釣りです。

初心者でも

  • 道具を正しく揃える
  • 基本の誘いパターンを覚える
  • タナを意識して釣る

といったポイントを押さえれば、数釣りも大型狙いも楽しめます。

シーズンは夏から冬にかけて長く、秋は数釣り、冬はドラゴンタチウオと季節ごとに魅力が変わります。さらに、強烈な引きと鋭い歯によるスリリングなファイト、そして食べても絶品という点も、多くのアングラーを魅了する理由です。

初めての釣行では不安もあるかもしれませんが、遊漁船の船長や常連アングラーにアドバイスをもらいながら挑戦すれば、きっと釣果を手にできるはずです。ぜひこの記事を参考に、太刀魚テンヤ釣りの世界に飛び込んでみてください。きっとその奥深さにハマると思います!

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